６　撮影飛行
			今回の撮影旅行では、現地で航空機をチャーターして上空からも撮影することを計画しました。何億年もの年月をかけた隆起、曲隆、侵食、断層活動、火成活動等によって形成された「コロラドプラトー」と呼ばれる世界に類を見ないこの変化に富んだ高原を俯瞰的に眺めてみたいと思ったからです。
	ページという町のモーテルで2日目の朝を迎え、この日は日の出前に町の郊外にある飛行場に出掛けました。 この写真は、パイロットと友人がチャーターしたセスナ177に乗り込むところです。 　離陸する頃は太陽が顔を出し、眼下にレイクパウエルの湖が見えてきました。幸い天気は、雲ひとつない素晴らしい快晴です。 　高さ数百メートルの切り立ったグレンキャニオンの断崖絶壁、このような風景が見渡す限りあちこちに点在しています。 　セスナ機は快調に、山頂すれすれにすり抜けていきます。日本ではこんなに山に近づくことは絶対にないので気になりますが、パイロットは泰然自若として操縦していました。 　コロラド川をダムで堰き止めたレイクパウエルですが、その周囲の多くはこのように切り立った崖です。 　何と起伏に富んだ荒々しい地形なのでしょうか。パイロットは「陸路では絶対に行けないので飛行機でしか見ることができない」と言っていました。 　グランドキャニオンを思わせる大峡谷が見えてきました。入り組んだ谷間に険しい断崖の連なりで、全く人の侵入を拒んでいます。 　川の激流に削り取られ、Ｓ字状に深い谷間を形成しています。 　翌日行く予定の「グースネック」州立公園を空から眺めたものです。 　この上流も同様に、サンファン川の急流が長い年月をかけて大地を次第に削り取って深い峡谷を形成した様子が良く分かります。 　これまで続いた起伏に富んだ険しい地形から、広大な平地が広がる「モニュメントバレー」に近づいてきました 　西部劇の舞台で知られる「モニュメントバレー」です。 　「ビュート」と呼ばれる独特の形をした残丘が、見渡す限りあちこちに点在しています。 　上空から眺めるとミニュチュアセットみたいな感じがしましたが、近づいてみるとその大きさに驚かされました。 　映画で見る風景は幌馬車が走る平坦な荒野ですが、実際はこのような断崖が各所にありました。　これでは幌馬車も立ち往生せざるを得なかったでしょう。 　予定していた1時間半の飛行が終わりに近づき、再びグレンキャニオンに戻ってきました。 　高く昇った太陽に照らされて、深い地層がはっきりと確認できました。 　これはレイクパウエル湖の直ぐ近くにある巨大な残丘「タワービュート」で、ここのシンボルになっています。 　ペイジの飛行場まであとわずか、名残惜しいですが間もなく着陸します。 　着陸後、パイロットと一緒に撮って貰った記念写真です。 　ちなみに今回のセスナ機のチャーター料金は、1時間半で1人375ドル（45,000円）でした。高いようですが十分にそれだけの価値はあり、すっかり堪能した上に気に入った写真も撮れました。